FC岐阜の順位を上げてJ1昇格するためにマインドコーチングの観点からやるべき2つのこと
この記事は森昇×コーチング~マインドコーチからみた100m9秒台出して世界と戦うコツ~からの転載、加筆修正したものです。
(※追記:2016年11月20日、j2残留決定しました!)
2016年7月21日にFC岐阜のラモス監督が解任されました。岐阜に住んでいるぼくとしてはびっくりだし今までの成績からしたらやっぱりなぁって感じがします。
解任され、新体制としてJ2を戦っていくわけですが、24試合を終えてj3降格件ギリギリのFC岐阜があと18試合を戦っていく上でどう立て直していくのかコーチングの観点から書いていきます。(この記事を書いている2016年11月17日現在ではあと1試合になったので来シーズンを戦う上での参考になれば幸いです。)
【1、ゴールの再設定を!】
以下、FC岐阜のホームページより新監督の吉田恵監督のコメントです。
□コメント 『この度、監督の交代を受け、監督に就任させて頂くことになりました。個々のレベルアップはもちろん、チーム力が向上するように全力で頑張ります。今後は新体制の下で、新たにFC岐阜を構築していき、ファン・サポーターの皆さんと一緒になって頑張っていきたいと思います。一層のご支援・ご声援をよろしくお願い致します。』
まず前提として、プロというのは勝つことが求められます。
つまりは優勝して当然ということです。
スポーツ自体は勝敗はどうでもいいんですけど、かれらはプロとしてサッカーを通じて経済活動をしています。資本主義のルールにのっとり、サッカーで社会に価値を提供していくということです。
ということは社会(つまりは岐阜)にとって最大の価値は優勝であり、J1で戦い、岐阜県をアピールしていくことです。
プロと名乗っている以上は常に「我々はNo,1のチームである」というイメージを持ち、いかなることがあってもイメージを下げないようにするべきです。
そして優勝というのは、当たり前ですが1チームしか獲得することが出来ません。
そしてプロの世界というのはスキル以上にマインド(つまりはココロと脳の使い方であり精神的な部分)が勝敗のかなりの割合を占めます。
この場合で言えば、自分たちは優勝して当然だと思っていないチームはその時点で優勝なんてできないし、ましてや優勝なんてとんでもないと思っているチームはその場に存在していないのと同じです。
なのでまずは前提といてJ2で優勝して当然だというゴールを設定すること。そしてそれをさらに超えたゴールを設定する必要があります。
苫米地理論では現状を超えたゴールという言い方をしますが
なぜ現状を超えたゴールが必要かというと、ぼくたちの脳は「ゴールが達成できる」と思った瞬間、それに対するエネルギーがなくなり、今までは絶対にしない凡ミスや致命的なミス、ありえない失敗をします。
これをクリエイティブアボイダンス(創造的回避)というんですけど、おそらくFC岐阜は第6節以降にクリエイティブアボイダンスが起こり、勝ち点を取りこぼしていったのではないかと推測できます。
上の図は、ULTRAZONE2016年明治安田生命J2リーグ順位の推移より引用しました。(転載元の記事では第24節までのデータでしたが、2016年11月17日までの最新のデータに変更してあります)
第6節に今シーズン最高順位の5位を記録しています。
J1とJ2の入れ替え制によれば
J2リーグ戦における1位〜2位のクラブは、J1に昇格。 J2リーグ戦における3位〜6位クラブのうち、J1ライセンスが付与されているクラブは、J1昇格プレーオフに出場。優勝クラブ(1クラブ)がJ1に昇格。 J1リーグ戦における16位〜18位のクラブは、J2に降格。 ただし、J2リーグ戦における3位〜6位のクラブのうち、J1ライセンスが付与されているクラブがない場合は、J1昇格プレーオフは開催されず、J1リーグ戦における16位クラブの降格は無くなり、J2上位2クラブのみがJ1に昇格。 J2リーグ戦1位、2位のクラブにJ1ライセンスが付与されていない場合、3位以下の繰り上げはない。
となっています。
つまりJ1クラブライセンスを持っているFC岐阜は、第6節時点で5位ということはその時点では、J1に上がれる可能性が見えてきて射程圏内です。
おそらくFC岐阜はJ1に上がることはゴールだったため、5位になり、このままいけばJ1に上がれるかもしれないと思った瞬間、J1に上がることが現状の内側になってしまったというわけです。現状の内側とはつまり「現状維持」ということであり、無意識的に力をセーブした状態ということです。
そして僕たち人間はゴールを達成してしまうことを極端に嫌う生き物です。
達成しようものなら全力で阻止します。
なので第6節時点で行うべきだったのはゴールの更新だったというわけです。おそらくJ1に昇格がゴールだったので、J1優勝とか、AFCチャンピオンズリーグ優勝くらいまでゴールを引き上げるべきでした。
そうするとJ1昇格は「ゴールを達成するための通過点」ということになります。
「J1で優勝するためには、J1に昇格するなんて当然だしJ2優勝した当たり前だよね」
「AFCチャンピオンズリーグ優勝するんだから、J1に昇格するなんて当然だし、ましてはJ2で5位になったからといって気を抜くなんで自分たちらしくないよね」
と言ったようにゴールを更新することで、チーム内の雰囲気はさらに活性化し、自分たちがゴール達成に向けたあるべき姿(つまりはJ2優勝して当然とか、J1に昇格して当然という姿)に勝手になっていきます。
なのでまず行うことはゴールの再設定です。
今の状況を考えたら、「J2降格しない」というのが妥当だと思われますが、それではチームとしてのパワーも出ないので、やるべきことは「今の自分たちがこのままやっても絶対に達成できないゴールを設定すること」です。
そうしないと昨シーズンの二の舞を踏む可能性(20位という降格圏をギリギリ免れた状態)があるので注意が必要です。
【2、選手のエフィカシーを高めよう!】
24節まで終えての結果は
第1~第6節 4勝2敗
第7節~第24節 3勝3分12敗
となっています。
おそらく負けがつづき、選手のエフィカシーは低い状態だと推測されます。
※42節終了までの結果は、11勝7分23敗です。
エフィカシーとは目標を達成するための自己能力の自己評価のことです。
自己肯定感とか自信とか言ったりしますが、ここでは目標を達成するための自己能力の自己評価の事だと思ってもらえれば良いでしょう。
スポーツ選手にとってはエフィカシーが高いことはパフォーマンスを発揮するうえで最も重要な要素になります。
なぜならエフィカシーが高くない選手というのは
無意識に「自分はダメな選手なんだ」「オレなんてこの程度の選手」「FC岐阜なんてどんなに頑張ってもこの程度なんだ」というイメージを持ってしまっているため、
本来もっている才能を抑えつけてしまっているんです。
スポーツの世界。特にプロの世界のように実力があまり変わらない世界は、力を発揮できなければ当然ですが負けます。
そして負ければ「やっぱり勝てなかった。自分はなんてダメな選手なんだ」とさらにエフィカシーを下げてしまいます。
恐らく、5位まで言ったチームが18位になるということは、よほどチーム内のエフィカシーがさがっている状態なのではないかと推測されます。
なのでまずはチーム全体のエフィカシーをあげること、レギュラーメンバーやサブメンバーも関係なしにエフィカシーを上げることが重要です。
具体的には「批判的なことは言わない」ということや「褒める」ことを徹底的に行うといいでしょう。
あとは過去の成績や現在の状況を見て判断するのではなく、選手本人にどんな選手として活躍したいのか、才能を発揮したいのかをイメージさせ、それを尊重することです。
いがいに多いのは、選手以外の人が勝手に目標を設定してしまうことです。実はこれは間違った方法なんです。
なぜなら目標というのは本人が決めない限りは、どうあっても無意識が反発します。
つまりは先ほど書いたようにクリエイティブアボイダンス(創造的回避)が起こり、練習では上手くいっても本番では力を発揮できない選手が育ってしまったり、才能はあるけどいまいち力を出せない選手を育ててしまうことになるからです。
もちろんチームとしての目標はあるべきですが、それを達成するための選手自身の目標は選手の自主性に任せてきまさせます。それがエフィカシーを上げる第一歩でもあります。
そして監督やコーチはもちろん、選手間でも批判的な言葉を使ってはいけません。なぜなら批判的な言葉は選手のエフィカシーを下げてしまうことになるからです。
そういう意味でも、この記事に書かれていることは素晴らしい事です。流石FC岐阜のサポータです。
ブーイングをすることで選手が「なにクソ!」という反骨心をもち、エネルギーとして使うことが出来ますが、「反骨心」や「怒り」などの負のエネルギーには継続力はありません。
なのでブーイングや叱るなどでエネルギーを得たチームは時間が経つにつれてしんどくなりますし、サポーターや監督もマイナスのエネルギーを与え続けなければいけないので関係がギスギスしやすいです。
ギスギスすると、自分たちのホームがアウェイへと変化します。アウェイでは自分たちのパフォーマンスを最大限発揮することが出来ないのでますます勝ちにくくなる。
となると選手にとっても監督にとっても心身は疲労しやすくなり、もっと怒ったり叱ったりすることで鼓舞することになるため、ますます選手や監督、チーム全体の雰囲気が悪くなるという悪循環が起こります。
そういう全時代的な根性論的なコーチングではこれからの時代は勝負していくことが困難になります。そういう意味でもFCf岐阜のサポーターは時代の先端を走っていると言ってもいいです。
なのでチーム内で批判的なことを言った人に対しては選手の実力あるない関係なしに、またコーチや監督などの役職関係なしに厳重に注意し、訂正してもらうくらいのルールを設ける必要があります。
最初はむずがゆい感じがしたりするかもしれませんが、徹底して行ううちにだんだん 「オレは優秀な選手なんだ」「オレなら出来る」等と言った肯定的はイメージを持つことが出来、エフィカシーを上げることが出来るようになります。
ちなみにチーム内でエフィカシーがあがった状態をコレクティブ・エフィカシーと言います。いい雰囲気のチームというのはお互いの存在を認め、お互いをサポートしあい、支え合います。まさに一枚岩となった状態です。
こうなれば選手はクリエイティブに試合に勝つ方法を編み出しますし、自分の持っている才能を最大限発揮して勝利に貢献するようになります。
【プロの選手とは周りに夢を与える存在】
ゴールを再設定すること
チーム全体のエフィカシーをあげること
まずはこの2つを早急におこなうことが今のFC岐阜がこれからのシーズンを最高の状態でたたかうために必要なことです。
ちなみに「ハードなトレーニングも必要だ!」という声もいただいていますが、それについては下の記事にまとめてあるのでご覧ください。
岐阜はぼくの地元です。
そのチームが苦しみ、悲しみに満ちて子ども達や県民に夢を与えることができないのはとても残念だし、プロの選手であるならば周りの人達に夢を与える存在になるべきです。
そしてぼく自身もFG岐阜が岐阜県を盛り上げてくれることはとても嬉しく思っています。
なのでぼくは今回急ではあるけどコーチングの観点からFC岐阜が最高のチームとして日本全体、アジア全体を引っ張っていってほしいと思い、提案しました。
また、ここに書かれていることは、他のチームにも適応できることなので、もしFC岐阜やサッカー関係の知り合いがいる方は、どんどん拡散していってほしいです。
これからの活躍期待しています^^